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監査

監査結果

更新日:2024年2月27日

住民監査請求に基づく監査結果の公表

大王谷プール解体工事、総合体育館設計及び建設工事に関するもの

  令和5年12月25日提出 ・ 令和6年2月21日結果通知

政務調査費に関するもの 

  平成21年11月24日提出 ・ 平成22年1月15日結果通知

建物の調査に関するもの

  平成21年7月8日提出 ・ 平成21年7月24日結果通知

土地建物の売却に関するもの

  平成21年1月29日提出 ・ 平成21年3月19日結果通知


大王谷プール解体工事、総合体育館設計及び建設工事に関するもの

  令和5年12月25日提出 ・ 令和6年2月21日結果通知 ≪ 棄却 ≫

政務調査費に関するもの

  平成21年11月24日提出・平成21年1月15日結果通知 ≪ 勧告 ≫

第1 監査の請求

1 請求人

 日向市在住者  13名

 住所、氏名 (省略)

2 措置請求書の提出年月日

 平成21年11月24日

3 請求の要旨

 提出された請求の要旨は次のとおりである。(原文のとおり)

 「日向市議会政務調査費の交付に関する条例」の収支報告書の使途基準(第6条)及び提出等(第8条1項、2項)並びに別表(第6条関係「政務調査費使途基準」)に関わって、日向市議会会派「政真会」の報告書に下記のような条例違反があり精査の上善処されると同時に該当する金額の返還を要請する。

 もとより政務調査費は税金でまかなわれており個人的な出費と峻別しなければならない性格のものである。議員の資質を高め、もって住民の生活の向上に寄与することがその趣旨であることを考えれば正当でない支出は避けなければならない。私たちは昨年6月に'07(H19)年度の収支報告書を閲覧し、その「閲覧報告書」を議長宛に提出、全議員に配布していただいた。そうして今年6月に'08(H20)年度の分を閲覧した。その結果「政真会」を除いた会派が正当な報告をしていて一定の評価をしてきました。しかし「政真会」については条例を守っていない項目があり、また以後の対応の姿勢にも不信感を持たざるを得ない。

 以上により、日向市議会「政真会」に交付した政務調査費の使途及び報告内容に一部条例違反が存在するので監査委員は、市長に対し次のとおり勧告するよう地方自治法第242条1項の規定により請求します。

 なお、本請求の詳細な説明として別紙(参考資料)を添付します。

1 市長は日向市議会会派「政真会」に交付した政務調査費('08年度分)のうち、下記金額(総額236,686円)について返還を求めよ。

1) 日向市政務調査費の交付に関する条例第8条2項にあるように「収支報告書」は次年度の4月末に提出しなければならない、従って次年度の5月以降に訂正ないしは追加された報告については対象にならない。

 同会の10月1日付の「収支報告書」で追加された[レンタル・リース・会場費]の120,711円及び[その他(OHプロテクター)]の28,140円 計148,851円を返還すること。

2) 同条例別表(第6条関係)により政務調査費の対象外になっている食費(食卓費)にあたる9,835円(7月10日支出)及び行政視察時の41,600円('08年10月)と36,400円('09年2月)の計78,000円を加えた87,835円を返還すること。

2 市長は日向市議会会派「政真会」に対し、今後は条例に基づいて政務調査費を使用するよう勧告せよ。

以 上

  

参考資料  (原文のとおり、ただし個人名等については削除)

   日向市議会会派「政真会」政務調査費収支報告書('08年度)の問題点

【収支報告書】について

 まず指摘しておきたいのは同会派の報告書には'09年4月28日付のものと同年10月1日付のものとの2種類あることである。その間に何があったのか。同年6月26日に私たちの政務調査費閲覧、7月末同報告を議長及び議会事務局長に提出、9月23日に西都市議会議員の同費不正支出に関するメディア報道、9月30日に該当会派代表(代表者3名)による私たちへの説明、という経緯がある。実は9月に入るまではこの件について同会派の動きはなかったと言っていい。私たちの閲覧報告は全く見ていないと言うことだからそれは明らかだ。しかし10月2日に議会で決算認定審査があるという前日に追加・改訂した報告や領収書が添付された。特に私たちが事務局長に会った9月29日以降、同会派の対応がにわかに慌ただしくなった。4月末に締め切った収支報告書が10月1日に改訂が許されることなど通常の社会通念では考えられない。これは一種の改竄ではないのか、さらに9月30日に同会派と話しあったとき「[別表(第6条関係)・政務調査費使途基準]について知らなかった」「誰だってどこに視察に行ったって食事はとる。対象外にするのはおかしい。今後議会改革委員会でもそう主張する」という発言があったことも付記しておきたい。条例も使途基準も議員諸氏が自ら決めたことであることを考えれば、住民に対してこのような開き直りをすること自体大問題ではないだろうか。

〔I〕研修費及び会議費

 9,835円 会議費として7月10日に支出。金額、お茶代(‘09年4月の提出時点)。条例提案関係となっているが領収書からみて、これは政務調査費の対象外であることは明白にもかかわらず同年10月1日付に添付された追加・改訂「収支報告書」にも記されている。

〔II〕行政視察費

 1,059,280円 食卓費として78,000円(41,600+36,400)支出しているがこれも(1)同費対象外。なお極めて問題なのは、いずれも(2)領収書の発行者が会長になっていることである。また(3)宿泊ホテルの明細書が添付されていない。(4)視察期日が10月27日~28日、2月23日~25日なのに旅行会社の領収書が11月11日付、3月30日付になっているのも違和感がある。(5)さらに視察に参加した人数が明記してない。そのため例えば'09年2月23日~25日(柏市及び三郷市)については両市市議会長への依頼文書では8名になっているが、そうだとすると旅行会社の領収書の額501,130円は一人あたり62,641円25銭になり理解しにくい。7人だと一人あたり71,590円になるから依頼文書から1名減ったのだろう。そうすれば食費(定額負担)が2,600円となり同派の説明に合致する。ということは2月の視察は3日間ではなく2日間ではないのか。

〔III〕レンタル・リース・会場費

 '09年4月に提出した収支報告書では0円となっているのに10月1日付けの改訂分では新たに120,711円に訂正してある。非常に不自然であり何らかの意図を感じる。請求明細が同会派に属するA議員の住所になっていることや添付順が不揃いなのも急遽しつらえた感を受けすんなり納得できない。ところで、この請求に対応する領収書はどうなっているのか。

〔IV〕その他

 ‘09年4月の収支報告書では0円だったのに同年10月1日の追加・改訂では28,140円になっている。なぜ4月の時点で省いたのか、これも不自然である。

〔V〕合計

 そのため合計額が1,217,678円から1,366,529円となり自己負担した額が17,678円から166,529円にふくれあがっている。

 なぜこのような作為をしたのか。対象外である食卓費(行政視察)及び茶菓代(会議費)の87,835円(9,835+78,000)を返還するよう求められたときのことを慮って、締め切りを半年も過ぎた時点で新規に追加したのであれば極めて姑息な行為だと言わざるを得ない。

【行政視察報告書】

 4月に提出した「政務調査費収支報告書」には「行政視察報告書」を付さなければならないが、「政真会」のそれには添付されていなかった。そのことにも閲覧報告に指摘していた。ところが10月1日付の追加・改訂では付けてある。4月に付けなかった理由は事務局に聞いたところ「会派としての視察はその要なし」ということだったので付けなかった(A議員)、とのことである。とても信じられない。どんな組織でも出張や視察をしたら復命書や報告書を提出するのは常識である。こんなことをも、私たち住民は議員の資質を問う材料にしなければならないのだろうか。資質以前のようにも思えるが。

 なお2月の視察は千葉県柏市と埼玉県三郷市になっているのだが、三郷市の分の報告書が確認できない。明細書付きの宿泊ホテルの領収書がないので参加人数が不明だが、実際は三郷市には行ってないのかもしれない。ただ人数については定額負担やホームライナー利用金額から判断すれば7名で2日間になる。しかしそうであれば、追加添付された視察報告書の表紙と矛盾する。

 

第2 請求の要件審査

 本請求は地方自治法第242条の所定の要件を具備しているものと認め、平成21年11月24日にこれを受理した。

 

第3 監査の実施

1 監査委員の除斥

 本件監査において、江並孝監査委員は、地方自治法199条の2の規定により除斥とした。

2 請求人の証拠の提出及び陳述

 平成21年12月10日、請求人に対して地方自治法第242条第6項の規定による証拠の提出及び陳述の機会を設け

た。その際、新たな証拠の提出はなく、請求要旨の補強説明を受けた。

3 監査の対象

(1)監査対象部局

  議会事務局

(2)監査対象事項

  請求の監査対象事項すべてを監査対象とした。

4 監査の方法

 次の方法により監査を行った。

(1)議会事務局長に対して関係書類の提出を求め、平成21年12月21日議会事務局長及び関係職員に対する事情調査を行った。

(2)地方自治法199条第8項の規定に基づき、同日関係人(会派の代表者等)の事情調査を行った。

(3)提出書類の精査及び記載事項に関する事実確認を行なった。

 

第4 監査の結果

 監査委員の事実関係の確認結果及び判断については、以下のとおりである

1 事実関係の確認

(1)政務調査費に関する規定

ア 地方自治法(政務調査費を交付する法的根拠)

 平成12年5月31日に公布された「地方自治法の一部を改正する法律(平成12年法律第89号)」において、同法第100条第14項に「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。」と規定している。

 さらに、同条第15項において、「前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。」と規定している。

イ 日向市議会政務調査費の交付に関する条例

 日向市は、平成13年3月議会に議員提出議案として提案され、同年3月27日に条例の公布、同年4月1日から施行されている。その後、平成17年9月定例会において、「(前略)、その使途の一層の透明性の確保、市民へのより積極的な情報公開、新たに議長の調査等を明記して市民の負託に確実にこたえるべく抜本的な条例改正を行う。(条例提案理由から抜粋)」として、全部改正が行われ、現在の条例に至っている。

 条例の主な内容を抜粋すると、

・第5条(議員に対する政務調査費)

 議員に対する政務調査費は、基準日に在職する議員に対して、月額12,500円を交付する。

・第6条(使途基準)

 政務調査費の交付を受けた会派及び議員は、当該政務調査費を別表に定める使途基準に従って使用するものとし、市政に関する調査研究に資するための必要な経費以外のものに充ててはならない。

・第8条第2項(収支報告書の提出等)

 政務調査費の交付を受けた会派の経理担当者及び議員は、前項の規定により作成された収支報告書を、領収書等の証拠書類を添付のうえ、よく年度の4月末日までに議長に提出しなければならない。

・第9条(議長の調査等)

 議長は、収支報告書が提出されたときは、政務調査費の適正使用に資するため、必要に応じ、調査を行うことができる。

 2 議長は、収支報告書の写しを、速やかに市長に送付するものとする。

・第10条(政務調査費の返還)

 政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、その年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該会派又は議員がその年度において市政の調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合、当該残余の額に相当する額を収支報告書の提出と同時に市長に返還しなければならない。

ウ 使途基準の運用

 政務調査費に関する規定については前述したとおりであるが、この条例は議員提出議案であり、さらにその使途にあたり注意事項(政務調査研究費使途基準に基づく注意事項)という形で、その具体的な運用基準を議員自らが作成している。

(2)本件請求の事実確認

ア 政務調査費の会派への支出

 前期分60万円を平成20年5月23日、後期分60万円を同年10月17日に会計担当者名義の通帳に振り込んでいる。

イ 収支報告書について

 「政真会」から提出された平成20年度政務調査費収支報告書別紙様式第1号その1は4月30日付で作成され、議会事務局の受付印が4月28日と10月1日が並べて押印されている。受付番号は取られていない。

 また、別紙様式第1号その2については、議会事務局受付が平成21年4月28日のものと、同年10月1日付のもの2種類が存在する。そして、10月1日付のものだけに受付印が押印されている。

 なお、提出された別記様式第1号その1(第8条関係)及びその2(第8条関係)は、厳密にいうと、条例に規定している別記様式(第8条関係)と異なっている。

ウ 提出領収書等について

 領収書の詳細については、後段の個別の判断の箇所で述べる。

・4月28日付の収支報告書

 行政視察費中、食卓費については、会派代表が会計責任者へ発行した領収となっている。

 宿泊・交通費については、業者からの総額領収書であり、詳細な明細の記載は無かったため、後日「政真会」より業者発行の請求書(内訳が記載されたもの)を提出させた。その結果、10月の行政視察の参加者は8名(内1名大阪駅⇒伊丹空港、宮崎空港⇒日向市間は別行動のため支給せず)、2月の行政視察の参加者は7名であることが分かった。さらに、両行程の日向市から宮崎空港までのJRライナー料金については、JR九州が発行したライナー料金の領収が添付されているにもかかわらず、業者提出の請求書にもライナー料金が含まれた区間料金の記載があり、当然のことながら合計金額に含まれていた。なお、この業者からの請求書発効日は、それぞれの行政視察から帰市した日付となっている。

・10月1日付の収支報告書(追加分)

 レンタル・リース・会場使用料に関しては、請求先不明の明細のみの提出である。後日領収書等の提出を求めたところ、通帳のコピーが提出され、通帳の引落し額と当初提出された明細とを照合した結果、3ヶ月分の料金について相違が認められた。なお、料金が引落されたこの通帳については、名義人は、同会派の議員個人名となっている。

 その他については、レシートのコピーの添付でありそのコピー状況も不鮮明で購入品目が読み取れず、上部に手書きで品名の記載をしてある。

エ それぞれの明細書に対する事実確認



オ 行政視察報告書

 平成20年10月27日~29日の行政視察報告書は、10月1日付の追加・改訂収支報告の際添付されていた。

 また、平成21年2月23日~25日の行政視察報告書は、住民監査請求に基づく参考資料として平成21年12月3日付で提出された。

2 監査委員の判断

 本件請求について、事実関係の確認の結果に基づき、以下のとおり判断する。

(1)収支報告書の10月1日付訂正を認めるかどうかの判断

 監査委員による平成20年度の政務調査費の決算審査は、21年4月30日付(4月28日受付)の「収支報告書」により実施している。10月1日付の修正された「収支報告書」(以下、修正「収支報告書」)については、正式な報告もなく監査委員の審査を実施していない(住民監査請求時点まで)。また、事務局において市の例規等に沿った事務手続き(下記に詳細を付記)がなされておらず、議長の受理の意思決定が確認できない。さらに、修正「収支報告書」には、修正理由が明記されていない。

 したがって、この修正は到底認められるものではない。

 (市の例規等に沿った事務手続き)

 市の例規等に沿った事務手続きについては、日向市議会事務局処務規程において文書取扱等の規定がなされている。同規程の第8条では、「議会の事務は、議長決裁(注1)を受けなければならない。」となっている。また、第13条においては、「到着文書は、庶務係において受理し、職員の閲覧後正副議長の閲覧を経て関係の係に配布する。」、第14条では、「文書の配布を受けたときは、遅滞なく処理案を具して稟議又は回覧に付するものとする。」、さらに、第15条では、「稟議は、係員において起案し職員の回議に付した後正副議長又は委員長の決裁を受けなければならない。ただし書き省略。」と規定している。

 以上のことから、「受付印及び供覧印を当該文書の余白に押印するとともに、文書件名簿に(1)文書番号及び件名、(2)発信者名及び発信年月日、(3)収受月日を記入し、収受するものとしなければならない。(日向市文書取扱規程第13条を準用)」、また、「稟議(起案)は、決裁伺書によるものとし、以下省略(文書取扱規程第16条準用)」から判断して受付印だけで済まされており、例規等に沿った事務手続きが確認されない。

 (注1)

 決裁とは、日向市事務決裁規程第2条第1号によれば、「その権限に属する事務の処理について意思決定を行うことをいう。」

 次に、条例第9条第2項では、「議長は、収支報告書の写しを、速やかに市長に送付すること。」になっているが、総務課の受け付けは、11月25日となっており、監査請求が行われた翌日で不自然である。また、その内訳は、すべての会派の収支報告書を含み報告され、政真会の支出金額は修正後の金額となっており、4月30日付の当初のものは報告されていない。

 したがって、このことについても、文書取扱として理解できない。

 ただし、議会事務局がこれを受領し、平成21年10月2日に開催された臨時議会において平成20年度一般会計決算として認定を受けており、さらには、11月25日発日議第258号において、議長名で市長に収支報告書の写しが送付され、同日受理されていることから、市及び事務局は、訂正された書類を正当なものと認めているものと解釈ができることから、今回訂正後のものについても監査を行うこととする。

(2)政務調査費の使途に関する判断基準

 監査委員の判断基準は前述のとおりであるが、請求人が違法若しくは不当と主張する政務調査費の使用について、返還請求を求めるためには、使途基準に反し違法であることが認められなければならないため、種目ごとにその理由に添って判断を行うこととする。

(3)個別の判断

ア 研修・会議費

 条例の使途基準には、会派等が行う講師を招いての研修・研究会の開催、外部に委託しての研究等に要する経費。政務調査に係る研修会への参加に要する経費(講師謝金、委託費、研修会への参加負担金、交通費、旅費、宿泊費、印刷代、通信費)となっている。よって、この項目で支出されたお茶代については、使途基準に反するものと判断する。

イ 行政視察費

 条例の使途基準には、会派等の行政視察に要する経費、会派等の現地視察に要する経費(講師謝金、交通費、旅費、宿泊費等)となっている。

 この規定から、旅費について食卓料が含まれるかどうかの判断は難しいが、たとえ食卓料が夕食代としても、提出された旅費明細から推測して一部割高である。

 また、今回の食卓料の支出については、会派会長が会計責任者宛に作成した領収であり、正当な債権者名義のものではない。支払いを行った場合、領収書を徴することが原則であり、正当債権者の領収書によることが建前である(地方財務実務提要、編集 地方自治制度研究会より)。したがって、このような領収書が正当なものであると認めれば、どのような支出も可能ということになり到底認められない。この件に関しては、平成20年度の決算監査においても適切ではない旨を口頭で指摘したところでもある。

 さらに、日向市議会政務調査費の交付に関する条例は、議員提出議案であり、条例の詳細な運用(食料費・食卓料)方法についても、提出した議員自らが築きあげたものである。

 よって、行政視察費の中で支出された食卓料は第6条の使途基準からいっても不適切で、第8条第2項の規定(領収書等の証拠書類の添付)にも反するものと判断せざるを得ない。

ウ レンタル・リース・会場使用料

 条例の使途基準には、政務調査活動に必要なレンタル契約に基づいた経費、会議等の会場使用料(事務機器のリース、会場使用料等)となっている。事務機器のリース代をコピーの使用枚数で支払っているとすれば、使途基準には合っているが、添付の書類は、請求の年、請求元の記載の無い請求明細書のようなものであった。そのため確認の意味も込めて「政真会」に領収等の提出を求めたところ、提出された書類は会派所属議員名義の通帳から引き落とされたことの分かる通帳のコピーであり、会派からの支払いは確認できない。また、その各月の金額と10月1日付で提出された請求明細を照合した結果、うち3カ月分の金額に相違が見られた。よって、この提出書類は著しく正当性を欠くものと判断をする。

エ その他

 条例の使途基準には、他の費目に属さない政務調査にかかる経費となっている。使途としては、会派で使用する備品とも受け取れるが、添付されているレシートは現物でなくコピーの添付である。しかも、購入明細については印刷状況が悪く購入内容が読み取れない。そのためかコピーされた用紙のレシート部分の上部に手書きで明細が記載してある。このような状態であることから著しく正当性が欠けた書類であるといわざるを得ない。よって、この支出は第8条第2項の規定(領収書等の証拠書類の添付)に反するものと判断をする。

(4)まとめ

 まず、10月1日付の修正「収支報告書」は、前述したように、これまでの事務手続き等からして到底認められるものではない。

 しかし、追加された経費を含め、条例の使途基準等に照らして、判断した結果、請求人の主張に対する監査結果は、次のとおり理由があると判断する。

 目的外支出及び不適切支出と認められるものは下記のとおり236,686円である。なお、返還を要する額は、条例第10条第1項を準用し、この金額から日向市からの交付額を上回る支出額166,529円(1,366,529円-1,200,000円)を控除した70,157円である。

    目的外支出及び不適切支出の内訳

    支出費目  研修・会議費           9,835円のうち   9,835円

            行政視察費         1,059,280円のうち  78,000円

            レンタル・リース・会場費  120,711円のうち 120,711円

            そ の 他          28,140円のうち  28,140円

       ――――――――――――――――――――――――――――――――――

            合      計                 236,686円

 なお、監査請求の「2.市長は、日向市議会会派「政真会」に対し、今後は条例に基づいて政務調査費を使用するよう勧告せよ。」の措置要求については、次の理由により下記の「第6 監査委員の意見」に代えたい。

 (理由)

 旧自治省通知において、平成12年の地方自治法改正に係る改正内容が通知され、その中で政務調査費の交付に関する事項として「制度化にあたっては、各団体における議員の調査研究活動の実態や議会運営の方法等を勘案の上、政務調査費の交付の必要性やその交付対象について十分検討されたいこと、条例の制定にあたっては、透明性の確保に十分意を用いること」などとされている。また、日向市議会においては、これらのことを踏まえ、議員提出議案として条例が制定されている。

 

第5 市長に対する勧告

 監査の結果は以上のとおりであり、本件請求人の主張には理由があると認め、日向市長に対し、以下の措置を講じることを勧告する。

1 平成20年度に交付した日向市市議会会派「政真会」にかかる政務調査費のうち不適切な支出額から報告された収支報告書の交付額を上回る支出額を控除した70,157円の返還に必要な措置を速やかに講じること。

 なお、追加計上された書類等については、良識的な判断をされ自主的な対応をされるよう希望する。

2 措置についての期限は、平成22年2月15日までとし、地方自治法第242条第9項の規定に基づき、期限までに措置を講じた時はその旨を通知されたい。

 

第6 監査委員の意見

 本件監査の結果は前述のとおりであるが、政務調査費制度の運用等に関し次のとおり意見を付す。

 政務調査費は、議員の調査活動基盤の充実をはかり、議会の活性化に資するために制度化されたものである。

 そうした制度の趣旨や活動の自主性・自律性を尊重する観点から、当市では平成13年に議員自らが運用基準を定めて適性に執行されてきたものと理解をしている。しかしながら、今回、住民監査請求が行われ政務調査費は公金であるとの認識が問われたところであるが、一部の会派においてその運用基準を知らなかったために、目的外支出や不適切な支出を行ったこと等を指摘されたことは、誠に遺憾である。

 今後、議長におかれては、条例第9条において、政務調査費の適正使用に資するため、必要に応じ、調査を行うことができるとされていることから、適宜、使用状況について議会内部における検査機能の充実に努められるよう希望する。

 また、今回の監査結果を踏まえ、今後の政務調査費の適正な執行をはかるために、第一義的には、議会内部における検査機能の充実が重要であるが、公金である政務調査費を管理する市長及び一連の事務を執り行う議会事務局等においても、市議会各会派の自主性や自律性を損なわない範囲で、その支出内容について適正な点検が行われるよう望むものである。

 以上、政務調査費の適切な運用に関して意見を述べたが、市民に対する説明責任が十分に果たされるように、より厳正な運用に努められるとともに、対象経費の限定列記により明確化するなど条例及び運用基準等の見直しを含めた、市民の信頼を得られるような政務調査費制度を確立されるよう希望する。

 (追記)

 今回の監査を終えて、行政内部の意思決定と情報公開等を行っていく上で、日向市議会事務局処務規程や日向市文書取扱規程、事務決裁規程等の例規を遵守して、文書管理の徹底を図ることが極めて重要であると認識した。議会事務局等の所管課だけでなく、全庁的な問題として、今一度、再点検を希望する。

措置状況原文(PDF/80.37キロバイト)

 

建物(ホテル日向)の調査に関するもの

  平成21年7月8日提出・平成21年7月24日結果通知 ≪ 却下 ≫

第1 請求人

 省  略

第2 請求の内容(原文のとおり)

 旧日向ハイツ(現ホテル日向)施設内のアスベスト調査を、平成21年6月16日に、日向市観光振興課が行ったにもかかわらず、平成21年7月7日現在においても、その調査の結果の報告を受けていない。この調査結果につき、担当部署に口頭及び書面にて結果報告を促しているが、全く回答を得られていない。この調査については、市税が投入されていると思われる。早期の報告を促していただきたい。

第3 地方自治法第242条の条件に係る判断

 住民監査請求については地方自治法第242条第1項で、普通地方公共団体の執行機関又は職員について、違法・不当な公金の支出等の財務会計上の行為があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる、と規定されています。

 以上のことに照らし、本件請求は、旧日向ハイツのアスベスト調査についての財務会計上の行為の違法性・不当性というものではなく、調査結果の早期の報告を促すことを求めているものであり、地方自治法第242条第1項に規定する住民監査請求の対象にはならないと判断しました。

 なお、この件に関しましては、担当課より平成21年7月14日付発日観第102号で回答した旨の報告を受けていることを申し添えます。

第4 結果

 以上のことから、本件請求は却下します。

 

「旧日向ハイツ」土地建物の売却に関するもの

  平成21年1月29日提出・平成21年3月19日結果通知 ≪ 棄却 ≫

第1 監査の結果

 本請求については、売買契約が解除されたことにより、請求の理由がなくなっているため棄却する。

第2 監査の経緯

1 請求人

 省  略

2 請求の受理/p>

 本件は、平成21年1月29日付けで収受し、要件審査を行い、同年2月6日付けでこれを受理した。

3 請求の要旨

 提出された請求の要旨は次のとおりである。

(1)日向市長(以下「甲」という)は、日向市の普通財産である「旧日向ハイツ」の土地建物を随意契約の方法により、金5千万円で現在の賃貸経営借受団体である株式会社HIRAKU(以下「乙」という)に売却する議案を日向市議会12月定例議会に提案し、これが12月18日に議決された結果、同日付で契約が成立、売却されたが、本件売買契約は違法であり、その金額も不当に安く妥当性を欠くので、監査委員は、甲に対し、次の通り勧告するよう求める。

(2)勧告要求

ア 甲は、本契約を解約すること。

イ 甲は、本契約が履行された場合、乙に移転した所有権移転登記を市に回復するため必要な措置をすること。

ウ 甲は、本件物件の価値についてあらゆる可能な調査、研究を行って正当な資産価値を決定し、その価格と金5千万円との差額を市に返還すること。

4 監査の実施

(1)監査対象事項

 甲と乙が締結した「旧日向ハイツ」の土地建物売買契約について、違法・不当な契約の締結・履行にあたるか否かを監査対象事項としていたが、乙の売買代金の未納により契約解除となった事から、契約解除の経過と事実確認を行なった。

(2)監査対象部局職員の陳述聴取等

 売買契約を所管する産業経済部観光振興課を監査対象として、関係書類の提出を求めた。

 平成21年2月10日の土地建物売買契約解除について市議会の全員協議会が開催され、乙の売買代金未納により、甲より同月3日付けで契約解除通知を乙に送付したとの説明が行われた。これを受け、同月23日関係部課長等へ関係書類の提出を求めるとともに、事実確認の聞き取りを行った。

(3)請求に係る事実確認

 本契約は、平成20年9月26日乙からの普通財産譲渡申請書の提出があり,同年10月28日の政策会議等の協議を経て、同年11月20日に甲乙間において仮契約を結び、同年12月18日市議会の議決を得て本契約となった。

 しかし、売買代金50,000,000円(内契約保証金5,000,000円)が平成21年1月15日の納期までに納入がないことから、同月16日に同月31日を納期とする売買契約解除通知を乙に送付し納入を促したが、納期限を過ぎても代金の支払がなかったため、甲は同年2月3日付けで解除確認通知を行った。

第3 結論

 以上のとおり、本監査請求については住民監査請求の監査対象事実がなくなったことから、棄却することとした。

 

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