人材確保・育成支援
認知症の理解を深め、支援の質を向上させるための研修会を開催しました
研修の目的・概要
本研修会は、認知症についての理解を深め、多職種による支援の質の向上を目的とし、令和7年7月18日に開催いたしました。
研修では、認知症の基本的な知識や各種症状の特徴、尊厳を重視した対応方法について学びました。また、地域での支援の重要性や多職種連携の意義についても改めて確認しました。
認知症の理解を深め、支援の質を向上させるための研修会 開催要項
研修の主要テーマ
認知症の基本理解と種類
認知症とは脳の疾患により記憶や認知機能が低下し、日常生活に支障が出る状態。単なる物忘れとは異なる。
◆主な認知症の種類:
- アルツハイマー型認知症:最も多いタイプ。記憶障害が進行し、物事を繰り返し質問したり、時間や場所の見当がつかなくなる。
- 脳血管性認知症:脳血管障害に起因し、身体機能の障害も伴うことが多い。リハビリが効果的で、生活習慣病の管理が重要。
- 前頭側頭葉型認知症:性格や行動の変化が顕著で、社会的ルールを無視した行動を取ることがある。
- レビー小体型認知症:幻視が特徴的で、動作が遅くなり、意識の変動があるため安全管理が求められる。
中核症状と周辺症状(BPSD)
- 中核症状:記憶障害や認知機能低下など認知症の本質的症状。
- 周辺症状(BPSD):不安、焦燥、興奮、幻覚、妄想、徘徊、暴言など、認知症に伴う行動・心理症状。
- 周辺症状の原因として身体の不調や薬剤の影響、不適切な対応が挙げられるため、原因を探り適切に対処することが大切。
適切な対応方法のポイント
◆安心感を与える
笑顔で視線を合わせ、ゆっくり穏やかな声で話しかける。
必要に応じて肩や手に触れる(相手が嫌がらなければ)。
◆集中しやすくする
名前を呼び、静かな場所を選び、一対一で話す。短い言葉でゆっくり、ジェスチャーや絵を使うなど工夫。
◆理解しやすく、選びやすくする
簡単で具体的な言葉を使い、選択肢は2つ程度に絞る。
◆繰り返しと否定しない対応
同じことを何度も聞かれても穏やかに対応し、記憶の間違いは無理に訂正しない。
◆環境整備
カレンダーや時計、メモを用いて見当識を助ける。
◆生活リズムの維持
不安や混乱を減らすために、生活のルーティンを一定に保つ。
認知症の疾患別ケアのポイント例
- アルツハイマー型認知症:繰り返しと安心感、生活リズムの固定、否定しない対応が重要。
- 脳血管性認知症:リハビリや身体機能維持、感情の変動に寄り添う、生活習慣病管理。
- 前頭側頭葉型認知症:本人を責めない理解、ルールより習慣による安定した環境作り。
- レビー小体型認知症:幻視の共感的対応、安全対策、薬への注意、日中活動の促進。
認知症疾患医療センターの役割
認知症疾患医療センターは全国に509か所設置されており、宮崎県内では各二次医療圏域に少なくとも1か所ずつ設置されています。
日向市・入郷地域については協和病院が宮崎県からの委託を受けて認知症の診断と治療の中核施設として機能しています。
【主な役割】
◆認知症の専門的診断と鑑別診断の実施
認知症は様々な種類や原因があるため、正確な診断が必要です。
早期受診によって治療可能な認知症は適切な治療(薬物治療、手術など)を行い改善を目指す。
◆認知症の原因疾患に基づく多様な治療の提供
認知症の中核症状の進行抑制や周辺症状(BPSD:行動・心理症状)への対策。
薬物療法だけでなく、リハビリテーションや心理社会的ケアも含めた多面的な支援の提供。
行動・心理症状に対して原因を探り、身体的不調や薬剤の影響、不適切な対応を改善。
◆地域医療・介護の連携推進と支援体制の構築
地域の医療機関、介護サービス事業者との連携を図り、認知症患者が住み慣れた地域で支援を受けられるよう調整。
認知症初期集中支援チームなどの地域支援体制との連携も強化。
多職種(医師、看護師、精神保健福祉士、ケアマネジャー等)が連携して包括的な支援を実現。
◆認知症に関する専門的な相談・啓発活動
患者本人や家族への相談支援。
医療・介護従事者への認知症対応力向上のための研修や助言。
地域住民への啓発活動を通じて認知症理解の促進。
◆疾病予防・早期発見の推進
認知症予防や早期発見の重要性を広く伝え、受診を促す。
生活習慣の改善や認知機能低下のサポートに関する支援。
地域と行政の認知症施策
- 認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる共生社会づくりを推進。
- 予防啓発、早期発見・対応、医療・介護サービスの充実、多職種連携を重視。
- 日向市では、認知症サポーター養成講座、認知症カフェ、認知症に優しい図書館や店舗の推進などの取り組みがある。
参加者の声
- 「認知症の方の尊厳を守りながら支援する大切さを改めて認識できました。」
- 「具体的な対応事例がわかりやすく、現場で役立つ内容でした。」
- 「地域で多職種が協力して支えていく意義がよく理解できました。」
研修の様子
本研修を通じて、多職種の参加者が認知症の理解を深め、今後の支援に活かすための知識と具体的な対応方策を共有できました。
市としても引き続き、認知症の人とその家族が安心して生活できる地域づくりを支援してまいります。
担当課 | 健康長寿部 高齢者あんしん課 |
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電話 | 0982-66-1022(直通:高齢者支援係、地域包括ケア推進係) 0982-66-1023(直通:介護給付係・介護認定係) |
FAX | 0982-56-1423 |
メール | kourei@hyugacity.jp |