広報ひゅうが平成27(2015)年5月号
アカウミガメとその産卵地

絶滅危惧種のアカウミガメ
アカウミガメは世界的にも生息数が減少している絶滅危惧種で、国際保護動物にも指定されています。日本は世界でも有数の産卵地で、北太平洋唯一の産卵地でもあります。
本州・四国・九州・沖縄の海岸一帯で産卵が見られ、なかでも砂浜が続く宮崎県は屋久島に次いで産卵の多い地域といえます。
市内の主な産卵地はお倉ヶ浜と金ヶ浜で、例年5月頃から7月にかけて産卵します。産卵は静まった夜の暗闇の中で行います。
上陸したカメは海水に浸からないような場所まで移動し、産卵準備を始めます。まずは四肢を使って体がすっぽりと入るほどの穴を掘り、次いで後肢を交互に使ってバケツのような穴を掘り下げます。この穴にピンポン玉ほどの卵を百個ほど産み落とします。産卵が終わったカメは、後肢で穴を埋めると前肢を激しく動かして砂を撹乱し、産卵場所を隠してしまいます。やがて最後の力を振り絞って海へと戻っていきます。産卵にはおよそ一時間を要しますが、砂浜が明るかったり騒々しかったりすると産卵をあきらめて海へと帰ってしまいます。
およそ2か月程かけて孵化した子ガメは、夜間になると一斉に砂の中から這い出し、元気よく海へと向かいます。
この時、地磁気を感じる能力を養うといわれています。
こうした一連の行動は、外敵に襲われないようにするためのものであり、外洋を航海するために必要な行動でもあります。また、活発な行動ができるのも、このわずかな期間だけです。
アカウミガメの観察は、「照らさず」「騒がず」「触らず」そっと見守ることが肝心です。運が良ければ、日向の浜を巣立った子ガメが三十年後に産卵をしに帰って来てくれるかもしれません。
日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。