広報ひゅうが平成19(2007)年2月号

カモシカ


カモシカ(成獣)


 日向市東郷町の尾鈴連山に連なる山々には、国の天然記念物であるカモシカが生息しています。正式には偶蹄目ウシ科カモシカ属ニホンカモシカと言い、小柄でずんぐりした体格をしており、四肢も首も太く短くがっしりとしています。カモシカとシカは似たような名前で混同されてしまいがちですが、観察するとずいぶんと違いがある動物です。
 カモシカは雄雌ともに緩やかに湾曲した黒色の短い角を持っており、シカと違って生え変わることはありません。角は年ごとに成長していき、生えぎわに角輪と呼ばれる年輪のようなものが形成されていきますので、この角輪の数が年齢の目安として参考になるようです。
 シカのひづめがほっそりとしていて開けた場所を走るのに向いているのに対し、ニホンカモシカはひづめの先を広げて立つことができるので、岩場など足場の悪い所での活動に適しており急峻な山の斜面でも転ぶことなく歩くことが可能です。また、群れで生活するシカとは違い定着性があり、ナワバリを持つことから単独やつがいで行動することが多く、目の下から分泌液を出してマーキングを行い自分のナワバリであることを誇示します。
 フンはともに楕円形をしているため単体でどちらのものかを見分けるのは容易ではありませんが、フンの仕方にも特徴がみられ、あちこちにフンをまきちらすシカに対し、カモシカは同じ場所でフンをするため、こんもりとした塊を作る傾向があるようです。
 今日、多様な開発の影響を受け、環境破壊が大きな問題となっていますが、自然を大切にし、動植物とうまく共存していくことができるように努力していきたいものです。
 また、カモシカは国の天然記念物であるため狩猟が禁じられているのはもちろん、けが等で保護した場合や死がいを発見した場合においても国へ届け出ることが必要です。


日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。

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