広報ひゅうが平成21(2009)年6月号
自然の宝庫、「権現崎公園」

日豊海岸国定公園の南端「権現崎公園」
日豊海岸国定公園の南端、幸脇地区に位置する権現崎公園は、むかしからみどり豊かな岬の公園として親しまれてきました。
標高52メートルの山の南側にある湊柱(みなとばしら)神社からは、のどかな耳川河口の景観や、重要伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けた美々津の古い町並みが一望できます。神社から木々の間の遊歩道をさらに東に歩くと、およそ10分で岬の突端に出ます。ここには休憩所があり、そばに昭和30(1955)年に建てられた若山牧水の歌碑があります。
「海よかげれ水平線の勤(くろ)みより
雲よ出で来て海わたれかし」
牧水は、権現崎からの眺めが好きだったといわれています。眼下に広がる紺碧の海を見つめながら、空想にふける姿がしのばれるようです。
権現崎の照葉樹林は、平成12(2000)年に県の天然記念物に指定されました。岬の大部分は原生林に覆われていますが、中には幹の太さが2メートルを超えるスダジイやタプ、それにヤマモモなどの巨木を見ることができます。
また、日本で最初に発見されたオオバネムという名のネムノキの一種も群生していて、ムヨウラン(無葉蘭)などの珍しい植物も見つかっています。
さらにキンラン(金蘭)、ナギランなどの絶滅危惧種もいくつか確認されています。海岸に近い岩場にも、ハマカンゾウやシオカゼなどの学術的に貴重な植物が育っていて、岬全体が「自然の宝庫」といえます。
さらに、林の中からは縄文、弥生時代の石器や土器片が発見されています。遠い原始時代から、私たちの祖先が生活を営んでいたものと思われます。
皆さんもぜひ一度、権現崎公園に出かけて、岬の植物散策などを楽しんでみてはいかがでしょうか?
日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。