広報ひゅうが平成18(2006)年10月号

牧水歌碑


歌碑


「ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ秋もかすみのたなびきてをり」
 歌人若山牧水が生涯に詠んだ歌は、現在確認されているもので九千余首といわれていますが、この歌は牧水の短歌の中でも最も有名なものの一つで、日向市東郷町坪谷にある県指定史跡「牧水生家」の裏山に「牧水歌碑」として建立されています。
 牧水は早稲田大学卒業後に次々と歌集を出版して一躍歌壇の花形となりますが、大正元年(1912)父の死にあたって帰郷した際に郷里にとどまることを近親から要求されます。おおいに迷った牧水は、裏山にある巨石の上に座り、坪谷川の対岸に見える山々を眺めながら強く悩み瞑想したといいます。
 この巨石は当時の心情をうつすものとして、牧水没後時代を経ても大切にされ、昭和22年11月に歌碑となりました。
 「牧水歌碑」は、名工と謳われた東郷町小野田の石工村田金吾さんの手により刻まれていて、昭和53(1978)年旧東郷町時代に文化財として指定されました。また、村田さんは昭和52年には牧水の胸像も手がけていて、像は現在若山牧水記念文学館に展示されています。
 牧水の命日である9月17日には毎年「牧水祭」が行われ、牧水を偲ぶために各地から多くの参列者が訪れています。
 第1部の歌碑祭では、牧水の短歌が朗詠されるなか、「牧水歌碑」へ地元の巫女らによる献酒が厳かにとり行われ、牧水の御霊をねぎらいます。
 「牧水祭」は平成18(2006)年度で第56回目を迎えました。牧水祭への参加は自由となっていますので、皆さんも参加して文学に親しんでみてはいかがでしょうか。


日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。

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