広報ひゅうが令和7(2025)年7月号

市指定史跡 高鍋藩御仮屋(おかりや)跡


市指定有形文化財「旧高鍋屋旅館及び付属屋」


 細島は、県内でも有数の規模を誇る細島港を有します。江戸時代は天領の港であり、南九州を治める藩の藩主が参勤交代の際にも利用したことから、御仮屋が細島に軒を連ねたといいます。各藩の宿泊した本陣は、飫肥藩なら「飫肥屋」、薩摩藩なら「薩摩屋」など、藩の名前を冠したようです。
 細島みなと資料館もその一つで、かつて三輪家が高鍋屋という屋号で旅館業を営んでいました。
 江戸時代には高鍋藩の御仮屋(現在管理棟)として、公的な宿泊所の役割を果たし、この御仮屋は昭和20(1945)年頃まで存在しました。
 明治から大正時代にかけては、細島港の物流拠点としての立地を活かし、 全国の商人等の一般客を受け入れ、利用客の増加に伴い大正10(1921)年に木造三階建てに建替えが行われました。
 昭和に入ると海軍の船が細島港に入港し始め、将校・士官の宿泊所として利用されました。戦時中に米軍の空爆によって一時休業したものの、昭和23(1948)年には営業を再開し、昭和55(1980)年まで地域の集会や冠婚葬祭の場として親しまれました。
 平成8(1996)年には高鍋屋旅館、付属施設は市の有形文化財に、御仮屋跡は史跡に指定されています。
 建物は日向市唯一の木造三階建ての主屋、木造二階建ての付属屋が二棟、木造平屋が一棟、台所、風呂、便所、倉庫四棟、庭四箇所からなります。玄関の唐破風による車寄せや時代を感じさせる電話室などの設備、 内壁の仕上げ、格子、欄干の意匠など、見どころが多くあります。
 細島みなと資料館は細島の歴史や風俗を伝える展示施設として、平成11(1999)年から一般公開しています。近くにお立ち寄りの際はぜひご覧ください。

〒883-0001 日向市細島803.1
入館料/一般220円 こども110円



日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。

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