広報ひゅうが令和元(2019)年8月号
日向・門川の柱状節理A

(上)カリマタベ、(下)石神山
原始〜食生活に必須のアイテム〜
節理と節理の間に挟まれた小さな浜「カリマタベ」。一面に転がる楕円形の石は、もともと柱状節理だったものが節理に沿って割れた後、お互いぶつかって削れ、波に洗われて丸くなったものです。
この種の石は、縄文時代以降、木の実などをすりつぶす「すり石」として使用されました。非常に硬い性質が当時既に認められ、手になじみやすいフォルムも相まって広く支持されたようです。
浜辺を訪れると、石が波にもまれてカラコロと軽快な音を奏でており、聴覚をくすぐります。現在は、いにしえから変わらぬ音色を聴くことができる、癒しのスポットになっています。
古代〜柱状節理を崇める〜
石神山(いしがみやま)山頂には、一辺2メートルを超す柱状節理の岩が集中して存在しています。古文書には「古来村人崇敬スル処ナリ(中略)円陣ヲ為ス如ク数多ノ扁平岩ヲ配ス・・・」とあり、何かを示すように並べられた石や祭壇を感じさせる石などが残っています。ミステリアスな雰囲気に魅せられて訪れる人も少なくありません。
同様に、地域全体を見渡すことができ、漁場を記録する「ヤマアテ」に利用されていた米ノ山にもメンヒル(立石)やストーンサークル(環状列石)が存在しており、人類学者・鳥居龍蔵氏もかつて調査に訪れています。ここでは、春と秋の彼岸に漁師が参拝する慣わしが、世代を超えて現代に引き継がれています。
日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。