○日向市手話言語条例

平成27年12月18日

条例第35号

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく貢献してきた。手話は、音声言語である日本語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情等を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできた。

しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者は、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語として位置付けられたことにより、手話を必要とするすべての市民がいつでもどこでも安心して円滑に意思の疎通を図ることができる社会を構築していくことが求められている。

ここに、手話が言語であるとの認識に基づき、手話を使って安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指し、この条例を制定するものとする。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解の促進及び普及並びに手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市の責務、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進することで、ろう者が安心して円滑に意思疎通を図ることができ、すべての市民が共に生きる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む聴覚障がい者をいう。

(基本理念)

第3条 手話の理解の促進及び普及並びに手話を使用しやすい環境の構築は、ろう者が手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、市民の手話の理解及び普及を図る施策並びにあらゆる場面で手話による円滑な意思疎通ができる地域社会を構築するための施策の推進に努めるものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、地域社会で共に暮らす一員として、基本理念に対する理解を深め、ろう者の人権を尊重し、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 ろう者は、市の施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(学校における理解の促進)

第7条 学校は、基本理念に対する理解を深め、手話に接する機会の提供その他の手話に親しむための取組みを通じて、手話への理解の促進に努めるものとする。

(施策の策定及び推進)

第8条 市は、次の各号に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 市民の手話の理解及び普及を図るための施策

(2) 手話による円滑な意思疎通及び情報を得る機会の拡大のための施策

(3) 手話通訳者の派遣等によるろう者の社会参加の機会の拡大を図るための施策

(4) 手話通訳者の設置及び処遇の改善に関する施策

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、施策の策定又は変更及び施策の評価を必要とするときは、ろう者及び関係する市民の意見を反映させるものとする。

(財政措置)

第9条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第10条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

日向市手話言語条例

平成27年12月18日 条例第35号

(平成28年4月1日施行)