○日向市男女共同参画推進条例
平成20年2月28日
条例第7号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第14条)
第2章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策(第15条―第24条)
第3章 日向市男女共同参画推進審議会(第25条)
第4章 雑則(第26条)
附則
日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、我が国では、国際社会における取組とも連動しつつ、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきた。
日向市においても、これまで国や県の動向を踏まえ、性別にかかわりなく社会のあらゆる分野において活躍することができる男女共同参画社会のまちづくりをめざした取組を、市民活動との連携を図りながら進めてきたが、その実現を妨げるような性別による固定的な役割分担等を反映した社会制度や慣行が依然として根強く存在しており、その改善を図るために取り組むべき課題は多く残されている。
一方、少子高齢化の進行や産業・経済構造の変化等に対応していく上で、性別にかかわりなくすべての人の人権が尊重され、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)においても21世紀の我が国社会を決定する最重要課題とされている。
こうした状況を踏まえ、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、ここに、すべての人の人権が尊重され、その個性と能力を十分に発揮することができ、かつ、すべての人が共に責任を負う男女共同参画社会の実現をめざすことを決意し、市、市民、事業者及び教育に携わる者が協働して、一人ひとりが大切にされるまち日向市を築くために、この条例を制定する。
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的として、男女共同参画社会の形成について、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本となる事項を定めるものとする。
(1) 男女共同参画社会 性別にかかわらずすべての人(以下「すべての人」という。)が、個人として尊重され、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もってすべての人が等しく政治的、経済的、社会的及び文化的利益を受けることができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。
(2) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 市民 市内に居住する者又は滞在する者(通勤、通学等で滞在する者をいう。)及び市内に活動拠点を置く市民団体等に所属する者をいう。
(4) 事業者 市内において、あらゆる事業又は活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(5) 教育に携わる者 社会のあらゆる分野において教育活動を行う者をいう。
(すべての人の人権の尊重)
第3条 男女共同参画社会の形成は、すべての人の個人としての尊厳が重んじられること、すべての人が性別による差別的取扱いを受けないこと、すべての人が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他のすべての人の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
(社会における制度又は慣行についての配慮)
第4条 男女共同参画社会の形成に当たっては、性別による固定的な役割分担等に基づく社会における制度又は慣行が、すべての人の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないように配慮されなければならない。
(政策等の立案及び決定への共同参画)
第5条 男女共同参画社会の形成は、すべての人が社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
(多様な活動に参画する機会の確保)
第6条 男女共同参画社会の形成に当たっては、すべての人が多様な活動に参画できる機会を確保するため、社会のあらゆる分野における活動の主要な役割が、性別による固定的な役割分担等を反映して、偏ることのないように配慮されなければならない。
(性の尊重に基づく健康への配慮)
第7条 男女共同参画社会の形成に当たっては、すべての人が、それぞれの性に関する身体的特徴についての理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項について、自らの意思が尊重された上で、生涯にわたり健康な生活を営むことができるように配慮されなければならない。
(教育における配慮)
第8条 男女共同参画社会の形成は、社会のあらゆる分野における教育について、男女共同参画社会の形成の促進が配慮されること並びにすべての人に生涯にわたる男女共同参画社会に関する教育及び学習の機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
(国際理解及び国際協力)
第9条 男女共同参画社会の形成に当たっては、国際社会における取組の動向を踏まえ、国際理解及び国際協力の理念の下に行われるように配慮されなければならない。
2 市は、国及び他の地方公共団体と連携し、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の効果的な推進を図るとともに、市民、事業者及び教育に携わる者(以下「市民等」という。)と連携し、男女共同参画社会の形成を図るよう努めなければならない。
3 市は、公衆に表示する情報において、男女共同参画社会の形成を阻害するおそれのある表現を行わないようにしなければならない。
(市民の責務)
第11条 市民は、男女共同参画社会についての理解を深めるとともに、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第12条 事業者は、男女共同参画社会についての理解を深めるとともに、その事業又は活動において、基本理念にのっとり、積極的に男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
3 事業者は、その事業又は活動を行うに当たり、男女が共同して参画する機会を確保するよう努めるとともに、就業又は活動と家庭生活との両立ができる環境の整備に努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第13条 教育に携わる者は、男女共同参画社会についての理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
2 教育に携わる者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第14条 何人も、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 性別を理由とする差別的取扱い
(2) セクシュアル・ハラスメント(性的な言動により当該言動を受けた者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。)
(3) ドメスティック・バイオレンス(配偶者等親密な関係にある者からの身体的、精神的、経済的又は性的な苦痛を与えられる暴力的行為をいう。)
第2章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策
(男女共同参画基本計画)
第15条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画社会基本法第14条第3項に規定する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
3 市は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(施策の策定に当たっての配慮)
第16条 市は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画社会の形成に配慮しなければならない。
(政策の立案及び決定の過程への共同参画)
第17条 市は、政策の立案及び決定の過程におけるすべての人の参画を促進するため、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は、附属機関及びこれに類するものにおける委員を委嘱する場合においては、その委員のうち男女のいずれか一方の委員の数が、委員の総数の10分の4未満とならないよう努めるものとする。
(市民等の理解を深めるための措置)
第18条 市は、男女共同参画社会に関する市民等の理解を深めるため、広報、啓発及び教育を行うものとする。
(市民等への支援)
第19条 市は、市民等が行う男女共同参画社会の形成に関する活動を支援するため、情報の提供そめ他の必要な措置を講ずるものとする。
(相談及び苦情の処理)
第20条 市長は、性別による権利侵害の行為その他の男女共同参画社会の形成を阻害する行為に係る事案について、市民等からの相談があった場合は、必要に応じて国、県その他の関係機関及び関係団体と連携を図り、当該相談を適切に処理するものとする。
2 市長は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について、市民等から苦情の申出があった場合は、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 市長は、前項の苦情の申出を処理するに当たって、必要と認めるときは、審議会の意見を聴くものとする。
(調査研究)
第21条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために、情報の収集及び分析その他の調査研究を行うものとする。
(事業者への協力依頼等)
第22条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画社会の形成の促進に関する広報及び調査について、協力を求めることができる。
2 市長は、必要があると認めるときは、市の出資する法人及び補助金、交付金、貸付金等の財政支援を行う事業者に対し、男女共同参画社会の形成への取組に関して報告を求め、適切な措置を講ずるよう求めることができる。
(推進体制の整備等)
第23条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制の整備を図るものとする。
2 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進する拠点施設として、日向市男女共同参画社会づくり推進ルーム条例(平成13年日向市条例第22号)に規定する日向市男女共同参画社会づくり推進ルームを位置づけ、その施設の機能の充実に努めるものとする。
(男女共同参画の推進状況等の公表)
第24条 市長は、毎年度、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表するものとする。
第3章 日向市男女共同参画推進審議会
(設置等)
第25条 市長の附属機関として、日向市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(2) 前号に掲げるもののほか、市長の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策及び重要事項について調査審議し、市長に意見を述べること。
(3) 必要があると認めるときは、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策及び重要事項を自ら調査審議し、市長に意見を述べること。
3 審議会は、市長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
6 前5項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章 雑則
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。