○日向市環境基本条例

平成15年3月20日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する施策

第1節 施策の基本方針及び環境基本計画(第7条―第11条)

第2節 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策(第12条―第23条)

第3章 日向市環境保全審議会(第24条・第25条)

第4章 雑則(第26条)

附則

私たちのまち日向市は、東に望む日向灘、西に広がる豊かな森林、緑が育む耳川をはじめとした多くの清流によって、豊かな恵みと限りない安らぎを与えられてきた。

しかしながら、利便性優先の私たちの生活は、大量生産・大量消費・大量廃棄により、環境に多くの負荷を与え、大気汚染や水質汚濁などの公害問題を引き起こしてきた。その影響は二酸化炭素の増大による温暖化や気象の変化による砂漠化など地球規模にまで広がり、自らの生存基盤さえ揺るがすほどになっている。

私たちは、この状況を認識し、市、市民等及び事業者のすべてが、協働の理念の下に共に計画し実行して、環境への負荷を低減し、より良い環境を創造することにより「だれもが住みたくなるまち」日向市を将来の世代に継承していくためにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的かつ快適な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘削のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(4) 市民等 市民及び滞在者(通勤、通学及び旅行で滞在する者をいう。)をいう。

(5) 民間団体等 市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体をいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造は、次に掲げる環境政策の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行わなければならない。

(1) 環境への負荷が少ない持続的発展が可能な都市を築き、将来の市民に良好な環境を継承していくこと。

(2) すべての市民が安全で快適な生活環境を確保すること。

(3) 豊かな自然環境及び生物の多様性を保ちつつ、市民と自然との触れ合いを推進すること。

(4) 市、市民等及び事業者が、地球環境保全を自らの問題として認識し、それぞれが事業活動及び日常生活における良好な環境の保全及び創造のための取組を積極的に行うこと。

(5) アジアの地域をはじめとする海外の地域と環境の保全に関する国際協力を積極的に行うことにより、持続的発展が可能な都市の構築に寄与するとともに、地球環境保全その他環境の保全の推進を図ること。

(6) 前各号に掲げる理念を実現するため、市、市民等及び事業者が協働して取り組むことのできる社会を形成すること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に関する市域の自然的社会的条件に応じた総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民等の責務)

第5条 市民等は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民等は基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることになるように必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する施策

第1節 施策の基本方針及び環境基本計画

(施策の基本方針)

第7条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 市民の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌、地盤等が良好な状態に保持されること。

(2) 多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されるとともに、生物の多様性の確保が図られること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれるとともに、緑化の推進、良好な景観の形成及び歴史的文化遺産の適正な保全が図られること。

(4) 廃棄物の減量及び適正処理が進められ、資源の循環的な利用が促進されるとともに、エネルギーの有効利用が図られること。

(5) 地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境保全に貢献すること。

(6) その他環境への負荷の低減が図られること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第4号の規定に基づく基本構想を踏まえ、前条に定める基本方針を総合的かつ計画的に推進し、基本理念の実現を図るため、良好な環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 市域における望ましい環境の姿を明らかにし、これを実現していくため、市民生活にかかわるものを広く採りいれた環境政策の目標を環境要素ごとに示すもの

(2) 前号に規定する環境政策の目標を実現するために市が重点的に取り組むべき環境施策を具体的に示すもの

(3) 市、市民等及び事業者が環境資源を利用する行為等を行う場合に、良好な環境の保全及び創造のためにそれぞれ配慮すべき事項を示すもの

(4) その他良好な環境の保全及び創造に関する重要事項

(環境基本計画の策定手続)

第9条 市長は、環境基本計画を策定する場合においては、あらかじめ民間団体等の意見を反映するように努めるとともに、日向市環境保全審議会の意見を聴かなければならない。

2 市長は、環境基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(市の施策と環境基本計画との整合)

第10条 市長は、市の施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画の定めるところに従い、良好な環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(推進体制)

第11条 市長は、環境政策の実効的かつ体系的な推進を図るため、環境政策を総括する組織を設けるものとする。

2 前項の組織は、次に掲げる事項について必要に応じて総合的な調整を行うものとする。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 環境政策に関すること。

(3) その他環境に関する施策の総合的推進に関すること。

第2節 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策

(経済的措置)

第12条 市長は、市民及び民間団体等が行う環境への負荷の低減に資する施設の整備その他の適切な事業を促進するため、必要な助成その他の経済的措置を講ずるように努めるものとする。

2 市長は、適正な経済的負担を求めることにより市民及び事業者が自ら環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導するため、必要な措置を講ずることができる。

(環境の保全に関する施策の整備等)

第13条 市長は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市長は、公園、緑地その他の公共的施設の整備及び自然環境の健全な利用のための適正な整備の事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(水環境と緑豊かな環境の確保)

第14条 市長は、市民等の憩いの場であるとともに、社会経済活動の場でもある美しい川、海、海岸等の水環境を保全し、及び創造するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市長は、森林その他の緑が有する良好な環境の保全上の機能を重視し、森林等の保全及び整備、市街地等における緑化の推進並びに緑に包まれた魅力ある都市空間の形成に努めるものとする。

(環境教育及び環境学習の振興)

第15条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実により、市民及び事業者が良好な環境の保全及び創造についての理解を深めるとともにこれらの者の良好な環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第16条 市長は、環境への負荷の低減を図るため、他の地方公共団体、市民及び事業者と協力して、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効な利用が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

2 市長は、環境への負荷の低減を図るため、他の地方公共団体、市民及び事業者と協力して、廃棄物の減量、再生利用及び適正な処理が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の自発的な活動の促進)

第17条 市長は、民間団体等が自発的に行う再生資源に係る回収活動、環境美化活動、緑化活動その他の良好な環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(環境事情の公表)

第18条 市長は、環境の状況及び環境基本計画に基づく施策の実施状況を明らかにするため、環境報告書を作成し、これを公表するものとする。

(情報の提供)

第19条 市長は、第15条の良好な環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに第17条の民間団体等が自発的に行う良好な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、個人に関する情報の保護等に配慮しつつ環境の状況その他の良好な環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(快適な生活環境の保全及び創造)

第20条 市長は、市民等と一体となって、緑化、ごみの散乱防止等の推進、良好な景観の形成、歴史的文化的な遺産の保存及び活用等により、快適な生活環境の保全及び創造が図られるように必要な措置を講ずるものとする。

(調査及び研究の実施)

第21条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査及び研究を行うとともに、それらの成果の普及に努めるものとする。

2 市長は、環境の状況を把握し、並びに良好な環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、試験、検査等を実施するものとする。

(監視等の体制の整備)

第22条 市長は、環境の状況を把握し、並びに良好な環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、国、県及び他の地方公共団体と連携をとりながら、必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(地球環境保全の促進)

第23条 市長は、民間団体等と連携して、地球環境保全に関する施策の推進に努めるものとする。

2 市長は、国際機関、国、県、他の地方公共団体その他の関係団体と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 日向市環境保全審議会

(環境保全審議会)

第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、日向市環境保全審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(所掌事項)

第25条 審議会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 環境基本計画に関し、第9条第1項に規定する事項を処理すること。

(2) 市長の諮問に応じ、良好な環境の保全及び創造に関する基本的事項及び重要事項を調査審議すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、他の法令の規定によりその権限に属させられた事務

2 審議会は、前項に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。

3 審議会は、委員25人以内で組織する。

4 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(補則)

第26条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は別に定める。

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

日向市環境基本条例

平成15年3月20日 条例第1号

(平成15年4月1日施行)

体系情報
第8類 生/第7章 環境保全
沿革情報
平成15年3月20日 条例第1号