広報ひゅうが平成28(2016)年6月号
東郷町迫野内の庚申さん*

羽坂地区コミュニティセンターから徒歩約3分
「60日に一度まわってくる庚申の日の晩に、眠っている人の体内から3匹の虫が抜け出して天に昇り、その人の悪事や過ちを天帝に告げ口するため寿命が縮まる。」と考えられていたため、庚申の晩には眠らないように語り合って夜を明かしたり、無病息災を祈念して石塔を建立したりしました。
庚申信仰は、神道や仏教とが重なりあうことで複雑化していき、猿田彦大神(さるたひこのかみ)や青面金剛(しょうめんこんごう)、帝釈天(たいしゃくてん)などが本尊とされ、作物の神様、疫病の神様などと多様な信仰形態を持つようになっていきます。
東郷町迫野内は庚申塔が多い地域で、現在30基を確認しています。
ここでは、大師原にある青面金剛像の庚申塔をご紹介します。
まず、基礎石・舟形台座・塔身が重なる形状をしていますが、荒い神様を表現しているのか、刀の姿を模しているとも言われます。
青面金剛は一面六臂(いちめんろっぴ)(顔が1つに腕が6本ある像)で、武具・法輪(人々の邪見・邪信を砕破すると言い伝えられる円盤形の武器)・ショケラ(裸体の婦人像)などを持っています。ショケラは通常人間の形ですが、ここは、人魚の姿をしていて特徴的です。
本尊の足元には鶏と猿が描かれています。これは鶏が鳴いて早く朝になってほしい心情と、猿は「見ざる言わざる聞かざる」で3匹の虫が天帝に報告しないよう願ったことを表現したとされています。
市内にも多くの庚申塔が点在していますが、形状などさまざま。一度観察したり見比べたりしてみてはいかがでしょうか。