広報ひゅうが平成26(2014)年12月号
日向十五夜祭り―見立て細工―*

十五夜祭りの見立て細工
日向名物十五夜祭り。今年は台風接近のため日程を短縮し10月11日に開催されました。県北三大祭りの一つに数えられる十五夜祭りですが、その歴史についてはあまり知られていません。
安政5(1858)年に書かれた史料『日向国御料発端其外旧記』によれば、富高八幡神社の神輿は、古くから「宝蔵ヶ島」を御旅所(休憩所)としていましたが、経済的な理由や、宝蔵ヶ島の土砂の流出などで、御旅所の造営ができなくなりました。
そこで、富高新町の「天神山」境内へ御旅所を移すことになりました。それ以来、天候が安定して豊作が続き、旧8月14日〜16日までの3日間、町内を賑やかに神輿が練り歩き、店には工夫を凝らした「見立て細工」が飾られ、子どもの手踊りも奉納されるようになり、近くの町や村からも大勢の参拝者が訪れる大変賑やかな祭りとなったと記されています。
「天神山」がどこのことなのかは不明ですが、現在の本町の幸福神社周辺を指す地名と考えて良いと思われます。
また、「見立て細工」は身の回りにある材料を使って作られた飾り物の総称で、当地の十五夜祭りのように商店街のあちこちに飾られていた例は、お隣の大分県大分市、別府市、竹田市、国東市をはじめ、瀬戸内海沿岸の広島市や呉市、尾道市などでも見ることができます。「見立て細工」は、これらの土地と古い時代から、経済・文化交流の歴史を示した証拠と言えるでしょう。また、これらを文化財として見れば、祭り自体は無形民俗文化財に分類されると思われます。
遠方の人たちからも「傘祭り」や「草「履祭り」と呼ばれ親しまれてきた十五夜祭りを、歴史的・文化的視点から精査してみる必要があります。