広報ひゅうが平成26(2014)年6月号
坪谷村の古文書

坪谷村の古文書
古文書は、読んで字のごとく「古い時代に書かれた文書(書類)」のことで、時期的には近世以前に書かれたものを指しています。また、明治10(1877)年に起きた西南戦争以前のものを古文書とする見解もあります。総じて、江戸時代より古い時代のものをそう呼ぶと考えていれば、間違いないでしょう。
さて、今回ご紹介するのは今年に入って確認された坪谷村の古文書です。現在、所有者から市立図書館が預かり、解読作業にあたっています。
種類としては、土地の売買や金銭の貸し借りに関する「証文」のほか、大変珍しい「道中手形」があり、さらに赤ちゃんが生まれたときに地元の神社から発行される「氏子札」もあります。
これらの中で特筆されるのは、証文類の体裁です。普通、証文と言えば紙一枚が残っているものです。ところが、今回確認された古文書は、包紙も残っていました。それらの紙には中身が何であるのかが書かれており、証文が汚れたり、第三者から容易に盗み読みされにくいようになっています。ただ、そうだからと言って、今回の古文書が特別な内容や多額の金銭を伴っているわけではありません。
本来、文書にはこうした包紙が使われていたのですが、受け取った側からするといちいち証文を出し入れしたり、整理したりするのに邪魔な包紙は廃棄されたり、早々に再利用されることが多かったようです。
こうしたことから、今回の坪谷村関係の古文書を残した人は、とても几帳面で、物を粗末にしない人。合理性だけにとらわれず、物事の経過や質を大事にする人であったことがうかがわれます。解説作業の結果が楽しみです。