広報ひゅうが平成26(2014)年4月号
櫛ノ山の仏舎利塔

仏舎利塔
仏舎利塔(ぶっしゃりとう)は、お釈迦様の遺骨(仏舎利)を納める仏塔で、インドにある「ストゥーパ」(卒塔婆そとうば)と呼ばれる形式をそのまま模して建てられているものです。
我が国に現存する仏舎利塔の実数は正確には知られていませんが、県内に限れば、宮崎市の紫波洲崎(しばすざき)と本市の梅ノ山の2基しか見ることができません。
また、本物の仏舎利を納めてあるものは世界的にも数が少なく、国内ではほとんどのものが宝石や経典を納めており、本県の2か所も仏舎利そのものは納められていません。
櫛ノ山の仏舎利塔は、横浜国立大学や日本大学で教授を務め、東京の浅草寺を手掛けたことで知られる有名な建築史家・大岡實(1900-1987)が設計したもので、昭和36(1961)年に着工、昭和45(1970)年に竣工しています。工事に際しては、日本山妙本寺の故石本妙眼さんが自力で敷地を開き、それを知った市内外の善男善女が浄財を提供し、また勤労奉仕として無償で作業に携わりました。完成に6年もの歳月を要したのはそうした事情によるものです。
さて、このようにして建造された櫛ノ山の仏舎利塔も今では市民の憩いの場所として利用され、さらに国道やJRを利用する人たちにとっても本市を代表するランドマークの一つになっています。
市の有形文化財の指定は、完成後50年を超えていることが目安になっていますので、仏舎利塔は今しばらく時間を要しますが、近い将来、市のみならず本県を代表する仏教建築として相当の評価を受けるものと思われます。
皆さんも、うららかな春の一日を櫛ノ山で過ごしてはいかがでしょうか。