広報ひゅうが平成25(2013)年8月号

塩見の雨乞いの霊場(旭嶽神社)*


塩見地区にある旭嶽神社(権現)


 今年の夏は少雨で、猛暑日が続きました。何もかも干上がってしまうのではないか。そんな心配をされた方もいらっしゃることと思います。
 平成6(1994)年も同じように、暑くて雨の降らない夏でしたが、当時の新聞にも「戦後、最高の暑さ、最少の雨量」という見出しがあります。しかもそれは宮崎に限ったことではなく、九州北部や四国などでも水不足は深刻でした。
 こうしたことが起きた場合、今でも行われるのが「雨乞い」です。たしかに科学的な根拠はよくわからないのですが、実際、雨乞いをすると雨が降ることがあるから不思議なものです。
 さて、県内で有名な雨乞いの場所としては尾鈴山があります。天保3年(1832年)には山頂に藩主を含む500人ほどが集合し、生魚を献上し明倫堂(藩校)の教授陣が祈願文を読み上げています。
 こうした公的な雨乞いのほかに、主に農民が集まって天に向い太鼓を叩いたり、幟をたてるなどしたことも多かったようで、主祭者は神官や僧侶の場合が多く、三日三晩もの間、祈願することもあったことが知られています。
 市内では塩見の小原地区から河川プールの前の橋を渡り登っていく「旭嶽神社(権現)」が雨乞いの霊場として知られています。
 ここは標高480メートルの切り立った崖の中腹にあり、幅30センチメートルもない狭い道を通って行かなければなりません。どうもかつて山伏たちが駆け回って修行した道場の一つのようですが、霊験あらたかな聖地として最近では神々が降臨する磐座(いわくら)信仰の遺跡としても知られています。
 いずれにしても雨乞いが効くとは限りません。日ごろからの節水が大切です。

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