広報ひゅうが平成24(2012)年1月号

平岩地区「住吉神社」の鳥居


平岩地区宮ノ上に鎮座する住吉神社


 国道10号お倉ヶ浜海水浴場の入口から、さらに南に向かって坂を登ると、左手海側に大きな鳥居と石段が見えてきます。
 ここ平岩地区宮ノ上に鎮座する住吉神社は、昔から海上交通の守り神として崇敬されてきました。入口にある島居(昭和4(1929)年建立)から、本殿に向かって少し登ると、高さ3メートルほどの小ぶりの鳥居が見えてきます。この鳥居は御影石で作られていて、向かって右側の柱に「奉寄進」の文字、左側には「平岩村松葉政治」の印刻があり、また右の裏にも「安政3年丙辰8月吉日」の文字、左の裏にも「大坂炭屋町」、「石工、みかげ屋新三郎」の印刻があります。
 これらのことから、この鳥居は今からおよそ150年以上も前に、大阪の石工、新三郎が作ったものと見られています。しかし新三郎がわざわざ日向にまで出向いて鳥居を作ったとは考えにくく、いったん大阪で作ったものを船で運んできたものと考えられます。
 大阪と日向の間は、早くから開かれていた瀬戸内海航路を通して結ばれており、特に本市の場合は細島と美々津という2つの良港をもっていたことから人や物が活発に行き来していました。住吉神社の鳥居は、そうした当時の状況を伝える史料でもあります。島居は、神社などにおいて神域と人間が住む俗界を区画するもの(結界)であり、神域への入口を示すものです。
 日本固有の物のように思われがちですが、中国から伝わってきたとする見方もあります。
 実際、日本の文化と多くの共通点をもつと言われる中国雲南省の少数民族の中には、集落の入口に鳥居のような木の門を建て、その上に鳥(鶏)の形をした飾りをつけているものがあるそうです。鳥居にもいくつかの謎や歴史が秘められていそうです。

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