広報ひゅうが平成23(2011)年11月号

「富高・細島」合併記念品*


富島町、細島町合併記念の銀杯


 今年(平成23(2011)年)は日向市制60周年にあたる記念すべき年で、さまざまな記念事業が計画されています。
 そうした中、大変珍しい物が発見されました。それは昭和12年に富高町と細島町が合併したときに配布された銀杯です。箱まで残っている貴重品で、当時、細島に住んでいた桑野卯吉が持っていたものです。卯吉の子孫は現在、大分市に住んでいますが、このたび細島のみなと資料館へ寄託していただきました。
 卯吉という人物は国土地理院から細島験潮場の看守に任命されていた人です。細島験潮場は、明治40(1892)年に建造された瓦葺のレトロなもので、現存する最古の験潮場として知られる大変貴重な文化遺産です。卯吉は、栄えある職場で地道な観測・記録業務を勤めていましたが、そうしたことが認められて、大正10(1921)年に我が国で初めて実施された国勢調査の調査員にも選ばれており、その当時の調査員としての辞令やバッジなど、珍しい資料も残されています。
 このほど、これらの品も銀杯と一緒に細島みなと資料館へ寄託されましたので、近日中に展示・公開されることになっています。楽しみにお待ちください。
 さて、今回紹介した2町合併記念の銀杯以外にも、例えば日露戦争の戦勝記念に配布された銀杯や磁器の杯など、私たちの身の回りには、案外多くの記念品が残されているものです。
 それら一つひとつが、私たちの住む地域の歴史を物語る貴重な文化財であることも少なくありません。自分にとって大切な思い出の品物があるように、地域にとっても失いたくない歴史と文化財があります。

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