広報ひゅうが平成22(2011)年4月号
越表の甌穴群

越表地区を流れる小丸川「甌穴群」
牧水が生まれ育った坪谷から国道446号を通って美郷町南郷区神門方面に向かってしばらく車を走らせ鎌柄隧道を抜けて坂道を下ると、道路は大きく右へカーブし、左側に小丸川と木城町石河内方面へ通じる尾鈴橋が視界に入ってきます。
そこから、さらに進むと柳原橋が見えてきます。このあたりが田口原、越表の集落で、この橋から約200メートルほど神門方面へ進み、川原へ降りるとアニメの世界に出てきそうな変な形をした岩が一面を覆っています。
本市では、日向岬から美々津海岸にかけて見られる尾鈴酸性岩類の柱状節理と断崖が貴重な天然記念物であると同時に、市を代表する観光資源として活用されていますが、越表の川原も美しい甌穴群で、最近、注目されるようになってきました。
甌穴は、川底や岸辺の岩脈上にできる円形の穴で、ポットホールとも呼ばれ、岩脈の表面にできた割れ目に水流が流れ込んでくぼみを作り、さらにそこへ小石や礫が流入して、クルクル回る渦流が発生すると、小石や礫も回転して岩脈を削り丸みを帯びた円形の穴ができるのです。
もっとも、甌穴ができるまでには気の遠くなるような時間が必要で、越表では径、深さとも数十センチメートルのものが多いようです。
本市の地質は、6500万年〜2500万年前の四万十層群と1600万年前の尾鈴酸性岩類とに大きく分けることができます。
越表の甌穴は、尾鈴酸性岩類の花崗班岩からできた岩脈に形成されたもので、もとは同じでも日向岬の柱状節理とは随分違ったものになっているのがわかります。