広報ひゅうが平成22(2010)年3月号

細島の「常夜灯」


細島の「常夜灯」


 細島は東九州屈指の港町で、古代から東国(関東地方)や機内(関西地方)と日向を結ぶ海上交通の要所であったことが知られています。
 平成11年に細島みなと資料館として開館した旧高鍋屋旅館の宿帳を見ると、国内はもとよりスペインやイタリアなど外国から訪れた人たちの名前も記載されています。多くの人たちが観光や商用で当地を訪れていたのでしょう。
 さて、みなと資料館から東へ向かい観音禅寺の門前を過ぎて少し行くと米ノ山の方へ登る道があります。この道は、昨年(平成21年)、細島区長会の皆さんが公益信託や地元業者さんたちの支援をうけて整備したもので、10分ほど登ると高さ3メートルほどの常夜灯が見えてきます。
 常夜灯とは、一晩中つけておく明かりのことで、夜間の道しるべや神社、仏閣などの出入り口に設けたり、沖を行く船に港の位置を知らせるため灯されているものがあります。
 県内で港町に残る常夜灯としては、延岡市東海(とうみ)のものが知られていますが、細島の常夜灯も遜色のない貴重な文化遺産で、明治11(1878)年11月に建立されています。
 碑文を読むと、「海で働く男たちが無事に港に帰って来てほしい」との願いを込めて、細島の女性たちが資金を出し合い建立したものであることがわかります。
 細島の常夜灯は石で作られた有形の文化財ですが、その背景には海で働く人びとへの愛情が込められているのです。

※細島地区区長会は平成20年度、公益信託大成建設自然・歴史環境基金の助成を受けて、歴史的建造物「常夜灯」の保存、および継承運動に取り組みました。

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