広報ひゅうが平成20(2008)年11月号
鶴野内大工野の「大日如来堂」

大日如来
東郷町鶴野内の大工野集落センターうら山にある「大日如来堂」。近くにはいろいろな神さまや仏さまが祀られています。
参道入り口で迎えてくれるのは、2体のお大師さんです。台座にはそれぞれの施主として「清作」と「増田幸吉」の名前が刻まれています。清作は、嘉永6(1853)年に本尊である大日如来像を奉納した人物。石段の石柱にも清作の名が刻まれていて、このお堂にかかわる重要人物の一人であるようです。一方、増田幸吉は、江戸時代に大阪相撲で活躍した大関増見川幸吉という怪力の力士です。横綱昇進をかけた取り組みで八百長を持ちかけられますが、これには応じず堂々の勝ちを修めた義侠心の熱い人物だったと伝えられています。
このお大師さんのうしろには、江戸時代中期と明治時代の庚申塔(こうしんとう)、さらに戦国時代末期の板碑(いたび)がありますが、ひっそりと立っていますので、知らずに通り過ぎる人も多いのではないでしょうか。階段を上りきると、水神様が祀られています。世話人の一人に「汐月重吉」の名がありますが、これは前述した大関増見川幸吉の息子にあたる人物です。お堂には大日如来のほかに地蔵菩薩・阿弥陀如来・弘法大師などが安置されています。
この「大日さん」は牛の守り神ともいわれていて、毎年八月第1日曜日に行われる大日講では牛馬安全を祈願する御札が配布されています。また興味深いことに、午前中は仏さまなのですが、午後は神さまに変わるといわれ、参拝の仕方も午前と午後で仏式と神式とを使い分けるそうです。お堂の横を抜けて奥に行くと稲荷神社やちり神さまも祀られています。
ここは、いろいろな神さまや仏さまが集まる神聖な場所のようですね。
日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。