広報ひゅうが平成20(2008)年6月号
平岩の本村城跡

本村城跡(平岩の本村公民館から、西に徒歩5分)
平岩の本村公民館から西に向かって歩いていくと、右側に小さな祠(ほこら)が建っています。)
祠のうしろには谷を利用した迫田があって、昔ながらの農村風景を醸し出していて、その北側には地元で「城(じょう)」と呼ばれている山があります。
傾斜のきつい山ですが、尾根まで登れば小さな道があります。息を整えながらゆっくり登ってください。しばらく行くと、ところどころに、空堀(からぼり)や郭(くるわ)の跡が見えてきます。
空堀の中には、幅3メートル、深さ2メートルほどの大きなものもあり、また、郭にも100平方メートルの広さのところがあります。しかも、空堀と郭は、尾根に沿って交互に連なっています。
このような構造は、「連郭式」と呼ばれていますが、このタイプの城は鎌倉時代から室町時代ごろの築城のものといわれています。
有名な楠木正成の千早城も、このタイプの城です。本村の城も、相当古い時代に築かれたと見ていいでしょう。ところが、この城に関する記録はまったく残っていません。とりあえず「本村城」と呼ぶことにします。
本村城のすぐ近くには、幸福寺があります。この寺は由緒ある古刹で、文禄4(1595)年、松葉源之丞景守(げんのじょうかげもり)が創建したと伝えられています。
景守は、当時この付近の地頭を務めていた人です。松葉一族は、古くから平岩地区を本拠にしていた土豪ではないかと考えられています。このことから本村城は、松葉一族の居城だったという推測も成り立ちます。
この近くに籾木城跡も残っていますので、そちらとの交流があったことも考えられます。
みなさんも一度、平岩の本村城跡を歩いて、歴史の謎解きをしてみてはいかがですか?