広報ひゅうが平成19(2007)年11月号
塩見の臼太鼓踊り

奉納の様子(栗尾神社)
塩見地区には白太鼓踊りの行事が伝わっています。
同地区の白太鼓踊りは、毎年11月16日の村祭りのときに、地区内の大将軍神社や若宮神社、それに栗尾神社の3か所で奉納されています。
以前は、旧暦10月9日に五穀豊穣を祈願して付近の田んぼで踊られていたということです。
踊りの由来ははっきりしませんが、加藤清正が朝鮮へ出兵した際、軍兵の志気を高めるために躍らせたのが始まりとも言われています。
清正と白太鼓踊りを結びつける話は、県内各地に残っていますが、本来の白太鼓踊りは、稲作に伴う重要な年中行一事の一つでした。
白太鼓踊りは、その名のとおり臼の形に似た太鼓を打ち鳴らして唄い、踊るものですが、じつは太鼓をたたいて音を出すことがたいへん重要な意味をもっています。
ときどき、東南アジアや南洋諸島の人たちが、太鼓をたたいて踊るようすがテレビなどで紹介されていますが、あれは娯楽ではなく大きな音を出すことで集落内に住む悪魔を追い出すという宗教的な意味もあるのです。
日本の稲作は、アジア大陸や南洋諸島から伝来してきたといわれており、この踊りは同時に干ばつや虫の害などからたいせつな稲を守るために悪魔を追い払う踊りの風習ももたらされたものと考えられています。
このように、白太鼓踊りには私たちの生活に欠くことのできない米作りの歴史が秘められています。
塩見地区では、小中学生が中心となってこの踊りの保存と継承に取り組んでおり、今後の活躍が大いに期待されます。みなさんも応援してあげてください。
日向市文化財でも紹介しています。ご覧ください。