広報ひゅうが令和3(2021)年1月号

師走祭りと伊佐賀(いさか)神社


華智王を祀る伊佐賀(いさか)神社


 百済王伝説にまわる師走祭りが毎年1月(旧暦12月)に行われます。
 百済王伝説とは、古代朝鮮半島にあった国「百済」が滅亡し、倭国(日本)へ逃れる百済王族の乗る船が遭難し、父の驩テ王が金ヶ浜に、長男の福智王が蚊口浜(高鍋町)に漂着した後、それぞれ美郷町神門と木城町比木へ落ち延びていくものです。
祭りでは、伝説をもとに年に一度、比木神社(木城町)に祀られている福智王(ふくちおう)が、神門神社(美郷町南郷)に祀られている禎嘉王(ていかおう)のもとへ巡行します。昭和22(1947)年までは9泊10日、現在は短縮され2泊3日の日程で行われています。
 祭りの一日目、比木神社の一行は禎嘉王が漂着した金ヶ浜で禊をした後、東郷町卸児(禎嘉王に付き従った女性が出産したと伝わる)で神事を行います。その後、美郷町との境にある越表区中水流に向かい、この地で追手と戦い亡くなった華智王(かちおう:福智王の弟)を祀る伊佐賀神社で迎えに来た神門神社の一行と合流します。
 かつて伊佐賀神社は山の峠にありましたが、登りに1時間半もかかり苦労したため、戦後、やや低い位置に移された後、現在地に移されました。社を移す際、鉄製の武器が多数出土したとも伝わっています。
 伊佐賀神社では、先に到着した神門神社一行が社殿東側に座り比木神社一行を迎えます。挨拶を交わし、祝詞をあげた後、互いに神楽を舞い、それが終わると神門神社一行を先頭に神門へと向かい、祭りは3日目まで続いていきます。
 今年の祭りはコロナ禍の影響で規模縮小して行われますが、古代の伝説に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

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