広報ひゅうが令和2(2020)年2月号
日向版発掘調査最前線の旅

山下遺跡の竪穴式住居跡
市教育委員会では、民間の開発事業に伴い、大字財光寺に所在する山下遺跡の発掘調査を令和元(2019)年10月からおよそ4カ月の日程で実施しています。
遺跡は、塩見川のほとりに位置した小高い山の上にあり、こんもりとした森の状態で保存されていました。
旧石器時代、縄文時代後期、弥生時代後期の時代が重なった遺跡で、各時代の石器や土器などが出土し、炉跡の集石遺構15基と竪穴式住居跡3軒を確認しています。
遺跡の特徴としては、狩猟用に弓矢の先につける鏃(やじり)や食用として木の実などを潰して加工する磨石(すりいし)・敲石(たたきいし)がほとんど出土していないのに対し、網の重りと考えられる石錘(組紐をつけるための切り目を加工した扁平で楕円形の石)が非常に多く出土しており、大きさや加工の仕方もさまざまでバリエーションが豊富です。このことは、遺跡の目の前を流れる塩見川を利用して魚を網で捕まえる漁労中心の生活であったことを想像させてくれます。
調査が進むとまだまだ解ってくることがあるかもしれません。詳しい調査の成果は、報告書にして一般にも公開される予定となっています。(日向市図書館にあります。)