広報ひゅうが令和元(2019)年11月号

日向・門川の柱状節理D


枇榔島、カンムリウミスズメのヒナ


番外編〜ロックなふるさと〜
 柱状節理の恩恵を受けているのは人間だけではありません。飛ぶのがニガテな絶滅危惧U類の海鳥・カンムリウミスズメは、険しい節理の枇榔島(びろうじま)を世界最大の繁殖地としています。
 春、親鳥たちが岩のすき間で産卵すると、ひと月程でずんぐりむっくりしたヒナが孵ります。節理に守られるように誕生したヒナたちですが、翌日夜には、数十メートルある断崖絶壁から親鳥の待つ海に降り立たなくてはなりません。転げ落ち、岩に打ち付けられる苛酷な旅立ちを経験しながらも、1年後、凛々しく成長した姿で故郷へ帰ってくるのは、生命の誕生にふさわしい場として、柱状節理を拠り所としているからです。この鳥の生態は現在、アメリカや韓国など海外の研究者も注目しています。
 1500万年前、地域に劇的な環境変化をもたらした火砕流。柱状節理となって様々な役割を担い、人間をはじめとする生き物と文化を築いてきました。道具として生活を支えるだけでなく、安心や癒しをもたらし、娯楽の1つとなるなど、この地域の生活を豊かに彩ってきた関係性は、これからより多彩になっていく可能性を秘めています。
 柱状節理と私たち生き物が紡ぎ続けるロックな物語。あなたも一緒に岩岩(ガンガン)巡ってみませんか。

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