広報ひゅうが令和元(2019)年10月号

日向・門川の柱状節理C


はまぐり碁石、乙島(門川町)


近代〜柱状節理がもたらした暮石〜
 明治期には、柱状節理の意外な産物が地域を盛り上げました。川から流れ出た砂が潮の流れによって運ばれ、柱状節理の半島に遮られて堆積した「小倉ヶ浜」。ここには通常のハマグリより殻が厚いチョウセンハマグリが生息しています。かつては食用として扱われていましたが、幕末に大坂の商人の目に止まり、殻を使った暮石(白石)の生産が始まりました。
 生産された碁石には、宝石のように艶やかでなめらかな感触があり、内部に透き通った縞の模様が現れます。現在この生産技術を伝えるのは全国でも日向市だけで、美術工芸品としても高い評価を受けています。

現代〜柱状節理と遊ぶ〜
 昭和後期以降は、この地域の噴火や地質についての研究が進んだことに加え、柱状節理が観光資源として注目され整備が進み、アクセスがより安全に、容易になりました。節理は人々により親しまれるようになっていったのです。その結果、柱状節理の無人島・乙島は現在、大自然を体感できるサバイバルアイランドとして若者から人気を集めています。
 カヤックに乗って洞窟内を探検すれば、内部の節理にギリギリまで迫ることができます。また、下は海というスリルを味わいながら、柱状節理を登るロッククライミングに挑戦することもできます。

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