広報ひゅうが平成29(2017)年8月号
日向市の師走祭りと百済王伝説

山陰神社
宮崎県内には、各地に特色ある祭りがありますが、師走祭りもその一つと言えます。
百済王伝説にちなんだ祭りで、およそ90キロメートル離れた木城町比木神社と美郷町南郷区神門神社が合同で開催し、祭神である百済王族の親子が一年に一度対面する儀式です。
現在は、車で移動するため、その行列姿を目にすることはなくなりましたが、かつては神社関係者や氏子代表など18人が、徒歩で9泊10日をかけて往来していました。
市内を通る道中では各地で神事が開かれ、多くの人々が集まって賑やかに接待したといいます。
また、一行が金ヶ浜で禊を受けたあと作成する「こよりの輪(わさ)」は、安産のお守りとされ、妊婦がこれを求めて集まってきていたということです。
道中には百済王伝説にちなむ地名や伝説がいくつも残っています。
まず、禎嘉王が漂着上陸したのが金ヶ浜で、塩見には亡くなった乳母を埋葬したという「うばが森」があります。山陰神社では、「笠の紐解き」や「泣くカメ」の伝説があるほおろし」か、坪谷川流域では、子供が生まれた場所という「卸児(おろしご)」や産湯をつかったという「産野(うぶの)」という地名があります。
また、越表にも子供を洗ったとされる「児洗(こあらい)」が地名として残っています。こうしてみると子どもに関係する地名や伝説が多く、安産のお守りを授けるしきたりが何かしら関係しているのかもしれません。