広報ひゅうが平成29(2017)年6月号
クサフグの産卵地*

産卵の様子
本市には神武天皇に関する伝説がいくつか残されていますが、今回はその一つ、「フクトが浦の鹿島神社」を紹介します。
美々津から東征の旅に出発した神武天皇が幸脇の海岸まで来ると、どこからともなくフグの大群が現れて、舟の行く先をさえぎりました。神武天皇が舟を岸に寄せて上陸すると、岩の上に鹿島の神が立っていました。
天皇は海岸の石を拾い、矢じりで「フグを退散させてほしい」と刻み、それを鹿島の神に捧げました。すると、たちどころにフグの群れは消え去り、天皇は東征の旅を続けることができたのです。
「フクトが浦」は日向サンパークのテニスコートから歩いておよそ5分のところにある海岸で、クサフグの産卵地として知られています。
この海岸では毎年5月〜7月にかけて、クサフグの大群が上陸し産卵しますが、これまでの調査結果から、おおむね次のような産卵行動が確認されています。
@満月か、新月の3日後、夕暮れの海岸の波打ち際に数千匹のクサフグが集結します。雌雄の割合は、雌1に対し雄9で、雄が圧倒的に多いのが特徴です。Aやがて数匹の雄が海岸に上陸して、周囲が安全かどうかを偵察し、安全と判断すると雌が上陸して石の隙間に卵を産み付けます。Bそれを合図に多くの雄が上陸して、競い合うようにして卵に精子をかけます。Cこうした行動が1時間ほど続くと波打ち際は白く濁ります。
7〜9日後、稚魚が孵化して海へ向かいますが、それを待ち受けている魚に食べられるため、成長することができるのは60分の1の確率だと言われています。