広報ひゅうが平成28(2016)年12月号
東郷町大谷の観音滝

アクセス=林道大谷山ノ口線沿い/大谷橋から車で10分
今回は東郷町小野田大谷地区にある観音滝を紹介します。
観音滝は、大谷山を源流とする大谷川の上流にあり、大谷山森林公園のすぐ近くに位置しています。
観音滝の横を通る林道脇の遊歩道を歩くと、滝を正面から観察することができます。
岩肌を流れ落ちる水が、数段の跳ね返りを見せて落下し、緑が深く静まった滝壺へと注がれていく姿は、神秘的であり、厳かな雰囲気を醸し出しています。滝の上部中央の小さな山は、「中塚さま」と呼ばれ、安産の神様として知られているほか、難病にも効果があると言い伝えもあり、現在も信仰の対象として参拝者が訪れています。
「中塚さま」のかたわらには十一面観音菩薩像が奉納されており、像には、「嘉永七寅天」「九月十八日」の文字があります。
「嘉永」は江戸時代末期の年号ですが、六年までしかありませんので、翌年の安政元(1854)年の事と判断できます。「寅天」は干支の寅年を意味しています。
また、十八日は観音菩薩の縁日であり、旧暦の9月18日にお祭りをする慣習があったようです。
一時は修験者(山伏)が住みついたこともあるようで、今でもお籠りする岩屋がそのまま残っており、当時の修行の様子をうかがうことができます。時代が移り変わっても信仰の地としての役割があった歴史など後世に伝えていきたいものです。