日向市文化財

県指定文化財

有形文化財 冠嶽権現の梵鐘

所在地 / 日向市東郷町山陰丁
指定年月日 / 昭和46年6月10日

 この梵鐘は、古くから鋳物の産地として有名な大分県大分市駄原で造られ、在銘鐘の中では南九州で最も古い。天文18年(1549)に願主である中俣大炊左衛門尉重昌が一族の無病息災などの願いをこめて冠嶽三所大権現に奉納したものである。文中に「日州新納院山毛保」との記載があることから、16世紀には当地が山毛と表記され、新納院に含まれていたことがわかる。新納院は平安時代に開発された荘園で、建久7年(1197)の「日向国図田帳」には児湯郡内にあったと記されているが、のちに荘域を拡大し臼杵郡にまで広げたことが知られている。この梵鐘は本件の中世史を理解するうえで欠くことのできない貴重な資料である。現在は羽坂区硯野に二分祀された辰手大明神の故地に安置し、宮司であった寺原家により先祖代々大切に受け継がれている。

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